「子どもが20歳になったら介護保険に移行しなければならないと聞いたが、何が変わるの?」「今の入浴サービスを続けられるか不安」——障害のある方が20歳を迎えるにあたって、多くのご家族が制度変更について不安を感じます。

このページでは、介護保険への移行が生じるケース・生じないケース、入浴サービスへの影響、手続きの流れを整理してわかりやすく解説します。


大前提:すべての人が20歳で介護保険に移行するわけではない

まず、重要な誤解を解消します。「障害のある人は20歳になると自動的に介護保険に移行する」というのは正確ではありません。

介護保険の利用対象は原則として65歳以上です。ただし、40〜64歳の「特定疾病」に該当する方は第2号被保険者として介護保険を利用できます(40歳未満は対象外)。

したがって、20歳前後の移行期に「介護保険への移行が問題になる」のは主に以下のケースです:

  1. 40歳以上になった際に特定疾病に該当する方(筋ジストロフィー・パーキンソン病など)
  2. 特定疾患の進行により40〜64歳で介護保険対象になる方

障害者総合支援法と介護保険の「優先関係」

40歳以上で介護保険の対象になった場合、原則として介護保険が優先されます(障害者総合支援法第7条)。

ただし、介護保険のサービスでは対応できない支援(重度の医療的ケアが伴う支援など)については、引き続き障害福祉サービスを利用できます。

ケース使えるサービス
40歳未満(障害あり)障害福祉サービスのみ
40〜64歳(特定疾病なし)障害福祉サービスのみ
40〜64歳(特定疾病あり)介護保険が優先、不足分は障害福祉
65歳以上介護保険が優先、不足分は障害福祉

特定疾病とは何か

介護保険の第2号被保険者(40〜64歳)が利用できる「特定疾病」は、以下の16疾病です。これらに該当する障害のある方が40歳以上になった場合、介護保険の申請が必要になります。

  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症(ウェルナー症候群等)
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害・網膜症・腎症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

障害児に多い疾患(筋ジストロフィー・SMA・ミトコンドリア病)は現時点では特定疾病に含まれていないため、これらの方が40歳になっても介護保険への強制的な移行は生じません(障害福祉サービスを継続利用できます)。


入浴サービスへの影響

障害福祉サービスから介護保険へ移行した場合の変化

項目障害福祉サービス介護保険
訪問看護(入浴含む)医療保険または障害福祉介護保険の訪問看護
ホームヘルプ(入浴介助)居宅介護(身体介護)訪問介護(身体介護)
訪問入浴障害者向け訪問入浴介護保険の訪問入浴介護
自己負担障害者の上限額管理介護保険の1割(または2・3割)

実際に変わること・変わらないこと

変わること

  • サービス提供事業者の変更が必要になる場合がある(介護保険対応の事業者へ)
  • 申請先・ケアマネジャーが変わる(障害の相談支援専門員→介護保険のケアマネジャー)
  • 自己負担の計算方法が変わる場合がある

変わらないこと

  • 基本的な入浴介助の内容(サービス量が維持される場合)
  • 担当者が変わらない場合も多い(同じ事業所が介護保険でも対応できることも)

移行が必要になったときの手続きの流れ

STEP 1:介護保険の認定申請

市区町村の介護保険担当窓口に認定申請を行います。要介護認定が出て、要支援1以上になることが利用の条件です。

STEP 2:ケアマネジャーの選定

介護保険ではケアマネジャー(介護支援専門員)がサービスを調整します。障害福祉では相談支援専門員がこの役割を担っていましたが、介護保険では別の担当者になります。

STEP 3:ケアプランの作成

ケアマネジャーと話し合い、入浴サービスを含むケアプランを作成します。

STEP 4:サービス事業者との契約

介護保険対応の訪問看護・訪問介護事業者と契約します。

STEP 5:障害福祉との組み合わせ確認

介護保険で補えない支援(重度の医療的ケアへの対応など)は障害福祉サービスと組み合わせて利用できるか、市区町村に確認します。


移行を「スムーズにする」ための準備

移行の2年前ごろから

  • 相談支援専門員に「将来的に介護保険への移行が必要になるか」を確認する
  • 現在の担当訪問看護ステーション・ヘルパー事業者が介護保険にも対応しているか確認する

移行の半年前ごろから

  • ケアマネジャーの選定を開始する(地域包括支援センターに相談)
  • 介護保険認定の申請手続きを確認する

よくある質問

筋ジストロフィーの子どもが20歳になりますが、介護保険に移行しますか?

筋ジストロフィーは現在の特定疾病リストに含まれていないため、20歳になっても介護保険への強制移行はありません。40歳以降も障害福祉サービスを継続して利用できます。

介護保険に移行したら、今の訪問看護師が変わってしまいますか?

同じ訪問看護ステーションが介護保険でも対応できる場合は変わりません。ただし、請求方法が変わるため、ステーションに確認が必要です。

介護保険への移行で自己負担が増えますか?

所得状況によって異なります。介護保険の自己負担は原則1割ですが、高所得者は2〜3割です。一方で高額介護サービス費制度があり、月の負担に上限があります。具体的な金額は市区町村に確認しましょう。


まずはご相談ください

制度移行の不安・入浴サービスの継続についてのご相談もお気軽にどうぞ。

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*本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。制度の詳細は法改正により変わる場合があります。お住まいの市区町村または担当の相談支援専門員にご確認ください。*