ウエスト症候群(West syndrome)は、生後3〜12か月に発症することが多い重篤なてんかん症候群で、「シリーズ形成する点頭発作(インファンタイルスパズム)」「ヒプスアリスミア(特異的な脳波所見)」「精神運動発達の遅れまたは退行」の3つを特徴とします。
入浴介助においては、入浴中・入浴後のスパズム発作への対応・発達退行に伴う介助方法の調整・低筋緊張への体位管理が重要です。このページでは、ウエスト症候群のお子さんの安全な入浴介助方法を解説します。
ウエスト症候群の主な特徴と入浴への影響
| 特徴 | 入浴への影響 |
|---|---|
| シリーズ形成するスパズム発作 | 入浴中の水中落下・溺水リスク |
| 発作の誘発因子(眠気・体温変化) | 入浴後のウトウト時に発作が起きやすい |
| 精神運動発達退行 | 以前できていた首すわり・座位が難しくなることがある |
| 低筋緊張 | 体の支持が困難・姿勢保持に介助が必要 |
| 光感受性てんかん(一部) | 浴室の強い照明が発作を誘発する場合がある |
| 抗てんかん薬の副作用(眠気など) | 入浴時の覚醒レベルに影響 |
スパズム発作の特徴と入浴中のリスク
スパズム発作は「点頭(うなずき)」「両手を前に突き出す」「体が前に倒れる」などの動作が短時間(1〜2秒)繰り返されるのが特徴です。シリーズでまとまって出ることが多く、1回のシリーズで5〜30回以上繰り返される場合があります。
入浴中に特に危険な状況
- 浴槽内でスパズムが起きると、体が前に倒れて顔が水中に入るリスクがある
- シャワー中に体が強く動いて転倒・打撲が起きるリスクがある
- 発作後の意識朦朧状態(発作後の眠気)で体が支えられなくなる
発作を踏まえた入浴方法の選択
浴槽入浴を行う場合の注意点
- 浴槽のお湯は浅め(腰〜腹部まで)にする
- 必ず介助者がお子さんから手を離さない(目を離さない)
- スパズムシリーズが出やすい時間帯(眠い時間・起床後すぐ)は避ける
- 浴槽内で背中を壁またはバスチェアに支えさせた状態で入浴する
発作が多い・不安定な場合はシャワー浴または清拭へ
- シャワーチェア(リクライニング可能なもの)を使ったシャワー浴が安全
- 発作が頻繁な時期は浴槽入浴を中止し、ベッドサイドでの清拭を中心にする
- 「今週は発作が増えているから清拭にする」という判断を柔軟に行う
発作のリスクが高い時間帯を避ける
スパズム発作は眠気があるとき・覚醒直後に起きやすいとされています。
- 朝の目覚め直後
- 昼寝の直前・直後
- 夜の就寝前(特に眠くなってから)
これらの時間帯を避け、「お子さんが機嫌よく覚醒している時間帯」に入浴を設定しましょう。
発達退行への対応:介助方法の定期的な見直し
ウエスト症候群では発作のコントロールに時間がかかる間に、発達が退行することがあります(首すわりができていたのにできなくなる、など)。
定期的に確認すること
- 首のコントロール:シャワーで頭を洗う際、頭を支える力の変化を確認する
- 座位保持:バスチェアや浴槽内での姿勢保持の安定性を確認する
- 手のひらの反応:洗体時の感覚反応・緊張の変化を観察する
変化を感じたら、訪問看護師・理学療法士(PT)に介助方法の見直しを相談しましょう。
光感受性への対応
一部のウエスト症候群のお子さんは光への感受性があり、強いフリッカー(点滅する光)が発作を誘発することがあります。
- 浴室の照明は白熱灯・調光可能なLEDで明るすぎない設定にする
- 直射日光が入る浴室では、入浴時間帯を調整するか光を遮る工夫をする
- 水面の光の反射が気になる場合は、浴室の電気を暗めにして入浴する
抗てんかん薬と入浴の注意点
ウエスト症候群の治療に使われる薬(ACTH療法・ビガバトリン・クロバザムなど)には眠気・倦怠感の副作用があります。
- ACTH療法中:血圧上昇・易感染状態になるため、体調チェックを徹底する。主治医に「入浴可否」を必ず確認する
- 眠気が強い薬を服用中:入浴中の意識レベルの低下に注意。浴槽入浴は特に危険なため清拭への切り替えを検討する
発作時の対応手順
入浴中にスパズムシリーズが始まった場合の対応手順を、あらかじめ決めておきましょう。
① 即座に顔を水から出す
浴槽内であれば、すぐに顔を水面から出し、頭を高く保つ。
② 体を支える
前に倒れる動作に備えて、体幹・頭部をしっかり支える。
③ 入浴を中断する
シリーズが終わるまで入浴を中断し、安全な場所(浴槽外・シャワーチェア)で様子を見る。
④ 記録する
発作の開始時刻・持続時間・シリーズ回数・状況を記録する。
⑤ 主治医・訪問看護師に報告する
「入浴中に発作があった」という事実を報告し、今後の入浴方針について相談する。
よくある質問
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ACTH療法中に入浴してよいですか?
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ACTH療法(副腎皮質刺激ホルモン療法)中は血圧上昇・免疫低下があるため、入浴制限が設けられる場合があります。必ず主治医に確認してください。
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発作が安定してきたら浴槽入浴に戻ってもよいですか?
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主治医・訪問看護師と相談の上、段階的に試すことをお勧めします。最初は浅い湯で短時間から始め、発作がないことを確認しながら通常の入浴に戻していきます。
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入浴後に発作が増える気がします。なぜですか?
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体温変化・疲労・眠気が発作を誘発している可能性があります。入浴後の発作パターンを記録して主治医に報告しましょう。入浴時間・お湯の温度の見直しが必要かもしれません。
スイトルボディがウエスト症候群に向いている理由
スイトルボディのベッドサイドケアは、浴槽を使わないため水中での発作による溺水リスクがなく、ウエスト症候群のお子さんに安全な入浴ケアを提供できます。
- 発作が起きても横臥位(寝た状態)のまま安全に対応できる
- 浴槽入浴に伴う体温変化・血圧変動が少ない
- 発作が増えた時期でも清潔ケアを継続できる
まずはご相談ください
ウエスト症候群のお子さんの入浴ケアについてのご相談もお気軽にどうぞ。
*本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。入浴方法の詳細については、担当の訪問看護師・主治医にご相談ください。*

