レット症候群は主に女児に見られる神経発達障害で、手の目的的な動きの喪失・常同的な手の動き(手もみ・手洗い様動作)・呼吸の不整・てんかん・側弯などが特徴です。重症心身障害に分類されることが多く、入浴介助では複合的な症状への配慮が必要です。
このページでは、レット症候群のあるお子さんの入浴時の注意点と、安全に清潔ケアを続けるための方法を解説します。
※ 入浴方法については必ず主治医・訪問看護師の指示に従ってください。
レット症候群が入浴に与える影響
手の常同運動と入浴介助
レット症候群の特徴的な症状である手の常同運動(手もみ・手洗い様・手を口に持っていくなど)は、入浴中も継続します。手が体に触れたり、ノズルや洗浄剤に触れる動作が予測できないため、介助者は手の動きを常に把握しながらケアを行う必要があります。
手をやさしく包み込むように支えながら洗うと、常同運動が落ち着くお子さんもいます。
呼吸不整への対応
レット症候群では覚醒時に過呼吸・無呼吸・息こらえ発作が見られることがあります。入浴中に呼吸のリズムが乱れた場合は、一時的にケアを止めて呼吸が落ち着くまで待ちます。
- 入浴中のSpO2モニタリングを主治医と相談する
- 呼吸が安定している時間帯を選んで入浴する
- 興奮・緊張がかかると呼吸不整が悪化しやすいため、穏やかな環境でケアを行う
てんかん発作のリスク管理
レット症候群のある方の多くにてんかんがあります。入浴中の発作リスクへの対応は以下を参考にしてください。
- 発作が増えている時期・直後は入浴を避ける
- 浴槽入浴よりもベッドサイドケアのほうが溺水リスクが低い
- 入浴中は目を離さず、異変に即座に対応できる体制で行う
- 発作時の対処手順を訪問看護師と確認しておく
側弯・体幹の変形への対応
進行した側弯があるお子さんは、安定した体位の確保が難しくなります。浴槽内での姿勢保持が困難な場合は、ベッドサイドでの横臥位ケアに切り替えることで安定した姿勢でケアできます。
安全な入浴方法の選択
浴槽入浴の注意点
浴槽入浴を行う場合は以下を徹底してください。
- 入浴時間を短くする(10〜15分を目安)
- お湯の温度はぬるめ(37〜38℃)にする
- 浴槽内での姿勢を安定させる用具(浴槽内マット・体幹保持補助)を使う
- 入浴中に常に呼吸・顔色・SpO2を観察する
- てんかん発作・呼吸停止の際にすぐ対応できる体制で行う
ベッドサイドケアという安全な選択肢
レット症候群のあるお子さんの入浴では、浴槽入浴よりベッドサイドケアが安全で継続しやすい選択肢になるケースが多くあります。
スイトルボディを使ったベッドサイドケアは、慣れ親しんだ環境で横になった安定した姿勢のまま全身をお湯で洗えます。呼吸の観察・発作への対応がしやすく、浴槽移乗による体への負担がありません。
- 常同運動があっても安定した姿勢でケアできる
- 呼吸を常に観察しながら行える
- 発作時に即座に対応できる体位で行える
- 側弯・変形がある場合も体位の調整がしやすい
入浴前後の確認ポイント
入浴前:
- 直近の発作の有無・タイミング
- 呼吸の状態(過呼吸・息こらえの頻度)
- 体温・全身状態の確認
- SpO2の確認(モニタリングが必要な場合)
入浴後:
- 体温の安定を確認する
- 保湿ケアを行う(乾燥しやすいため)
- 入浴後の疲労感・覚醒状態を確認する
気管切開・胃ろうが重なる場合
レット症候群のあるお子さんの中には、呼吸管理のために気管切開を行っている場合があります。気管切開がある場合の入浴手順については以下を参照してください。
補助金制度について
スイトルボディは日常生活用具給付制度の対象品目です。身体障害者手帳・療育手帳・小児慢性特定疾病医療受給者証をお持ちのご家族は費用の最大9割以上が補助される場合があります。
よくある質問
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手の常同運動があってもスイトルボディは使えますか?
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はい。介助者が手の動きを確認しながらノズル操作を行います。慣れてくると常同運動のタイミングに合わせてケアを進められるようになります。
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呼吸不整が強い日は入浴しないほうがよいですか?
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呼吸不整が激しい日・SpO2が低い日は入浴を避け、清拭での対応が安全です。判断は主治医・訪問看護師に確認してください。
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側弯が強くて浴槽に入れられなくなりました。
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側弯が進行した場合はベッドサイドケアへの移行をお勧めします。スイトルボディは横臥位で安定して使えるため、側弯の進行後も継続して使えます。
まずはご相談ください
「レット症候群の娘にスイトルボディは使えますか?」——お子さんの状態をお聞きして、安全な使い方をご案内します。
*本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。レット症候群の管理・入浴可否については必ずお子さんの主治医・訪問看護師の指示に従ってください。*

