障害児の正しい清拭手順と全身のスキンケアについてクリニック相談室で優しく微笑むピンクカーディガン姿 of 女性アドバイザーの横長写真

訪問入浴のない日、浴槽に入れることが難しい日——そんなときに清潔を保つために欠かせないのが「清拭(せいしき)」です。

しかし、「正しいやり方がよくわからない」「清拭だけでは皮脂の汚れが落とせていない気がする」「毎日やっているのに肌荒れが続く」という悩みも多く聞かれます。

この記事では、障害のある子どもの清拭の基本的なやり方・必要なもの・部位別の注意点を解説します。また、清拭だけでは補いきれないケースへの対処法もあわせてご紹介します。


清拭とは

清拭とは、湯で温めたタオルや専用の清拭クロスを使い、入浴の代わりに体を拭いて清潔を保つケア方法です。

お湯を使わないため、医療的ケアがあるお子さん・体調が優れない日・浴室への移動が難しい日でも安全に行えます。ただし、清拭だけでは皮脂汚れや臭いを十分に落とすことができないという限界があることも事実です。


清拭に必要なもの

最低限必要なものは以下のとおりです。

  • 清拭用タオル(フェイスタオル複数枚) または 市販の清拭クロス(ウェットタイプ)
  • 洗面器またはバケツ(お湯を用意する場合)
  • 防水シート・バスタオル(シーツや布団が濡れないよう下に敷く)
  • 着替え一式
  • 保湿剤(清拭後のスキンケア用)

市販の「温めてそのまま使える清拭クロス」を使うと、お湯の準備・絞り作業が不要になります。電子レンジで温めて使えるタイプが介護現場でも多く使われています。


清拭の基本手順

準備

  1. 室温を温めておく(清拭中は体温が下がりやすいため、25〜28℃が目安)
  2. 窓・ドアを閉め、風が当たらない環境を作る
  3. 防水シートをシーツの上に敷く
  4. タオルを使う場合は42〜45℃程度のお湯で濡らして固く絞る

拭く順番

清拭は清潔な部位から不潔な部位へという順番が基本です。一般的には以下の順番で行います。

  1. 顔(目→鼻→口→額→頬→顎)
  2. 首・耳の後ろ
  3. 腕(手先→肘→脇の方向へ)
  4. 胸・腹部
  5. 背中・腰(体位を横向きにして拭く)
  6. 脚(足先→膝→太もも)
  7. 陰部・臀部(最後に専用のタオルまたはクロスで拭く)

拭き方のポイント

  • こすらず、押し当てるように拭く(皮膚への摩擦を最小限にする)
  • 1回拭いたら面を変え、汚れた面で再び拭かない
  • 皮膚が重なる部位(脇の下・股関節・膝の裏・指の間)は丁寧に広げながら拭く
  • 拭いた部位はすぐにタオルで覆い、体温が下がらないようにする

部位別の注意点

顔・頭皮

医療的ケア(気管切開・胃ろうなど)がある場合、顔・頸部の清拭は特に丁寧に行います。カニューレ周囲・ストーマ周囲は専用のケア手順に従ってください(担当の訪問看護師に確認)。

頭皮は皮脂が分泌されやすく、清拭だけでは汚れが蓄積しやすい部位です。「ドライシャンプー」を活用すると、水を使わずに頭皮のケアができます。

背中・臀部(褥瘡予防)

寝たきりまたは長時間同一体位のお子さんは、背中・仙骨部・かかとなどに褥瘡(床ずれ)が発生しやすくなります。清拭の際にこれらの部位を観察し、発赤(赤み)・皮膚の硬さ・びらんがあれば訪問看護師に報告してください。

清拭後は保湿剤を塗布することが褥瘡予防に有効です。

陰部・臀部

陰部・臀部は清潔が特に重要な部位です。専用のタオル・クロスを使い、最後に拭くことで交差感染を防ぎます。

尿・便汚染がある場合は、清拭の前に汚染部位を先に処理してから全身清拭を行ってください。

皮膚が重なる部位(拘縮・肥満がある場合)

肘・股・膝・足指など皮膚が重なる部位は蒸れやすく、カンジダや皮膚炎が起きやすい場所です。できるだけ広げながら拭き、清拭後は十分に乾燥させることが重要です。


清拭後のスキンケア

清拭後は乾燥が進みやすいため、保湿ケアを行います。

  • 保湿剤(乳液・クリーム・ローション)を清拭後すぐに塗布する
  • 皮膚が荒れている部位・ストーマ周囲は担当看護師の指示に従ったスキンケア剤を使用する
  • 乾燥・発赤・びらんが続く場合は皮膚科・訪問看護師に相談する

「清拭だけでは足りない」と感じたときの対処法

清拭は安全で便利なケアですが、次のような限界があります。

  • 皮脂汚れや体臭を十分に落とせない
  • 頭皮・足裏など汚れが溜まりやすい部位のケアが難しい
  • 毎日続けると肌への摩擦負荷が蓄積する

「もっとしっかり洗いたいが、毎日浴槽には入れられない」という場合の選択肢が2つあります。

選択肢①:訪問入浴サービスを週2〜3回利用する

専門スタッフが自宅に浴槽を持ち込んで入浴介助を行うサービスです。清拭では落としきれない汚れをしっかり落とせます。

障害児の訪問入浴サービスとは|費用・利用方法を詳しく見る

選択肢②:介護用洗身用具でベッドサイド洗身を行う

スイトルボディは、お湯の噴射と汚水の吸引を同時に行う介護用洗身用具です。清拭より高い洗浄力でベッドの上から全身を洗えるため、「清拭では足りないが浴槽には入れられない」という課題を解決できます。

訪問入浴のない日の清潔ケアとして活用されているご家庭が多くあります。

スイトルボディについて詳しく見る


よくある質問

清拭は毎日行う必要がありますか?

毎日行うことが理想ですが、陰部・臀部・皮膚が重なる部位は毎日の清潔ケアが特に重要です。全身清拭が難しい日でも、陰部・臀部だけでも清潔に保つことを優先してください。

清拭クロスは何枚くらい必要ですか?

全身清拭の場合、最低でも部位ごとに使い分けるために5〜8枚程度が目安です。陰部・臀部は専用のクロスを使ってください。市販の使い捨て清拭クロスを使うと衛生的で準備が楽になります。

清拭後に肌荒れがひどくなった気がします。原因は何ですか?

タオルによる摩擦・清拭後の乾燥・清拭クロスの素材が合わないことが原因として考えられます。こすらず押し当てる拭き方に変え、清拭後の保湿を徹底してください。改善しない場合は訪問看護師・皮膚科に相談してください。

市販の清拭クロスと手作りの清拭タオルはどちらがいいですか?

どちらにも一長一短があります。市販の清拭クロスは手軽・衛生的・保湿成分入りのものも多い点が利点です。清拭タオルはコストが低く、温度調整しやすい点が利点です。お子さんの肌質・使いやすさに合わせて選んでください。

清拭は一人でもできますか?

全身清拭は体位変換が必要なため、できれば2人で行うのが理想ですが、練習次第で一人でも対応されているご家庭は多くあります。体位変換クッションを活用すると背中側のケアが一人でもやりやすくなります。


まとめ

障害のある子どもの清拭は、正しい手順と道具があれば在宅でも安全に行えます。

  • 清潔な部位から不潔な部位への順番で拭く
  • こすらず押し当てるように拭き、摩擦を最小限にする
  • 皮膚が重なる部位・褥瘡リスク部位は特に丁寧に観察・ケアする
  • 清拭後は必ず保湿を行う
  • 「清拭では足りない」と感じたら訪問入浴・洗身用具の組み合わせを検討する

清潔ケアの方法でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

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入浴介助全般のお悩みは障害のある子の入浴介助が「怖い・大変」と感じているあなたへもあわせてご覧ください。


*本記事は一般的な情報提供を目的としています。お子さんの皮膚ケアについては、必ず訪問看護師・主治医の指示に従ってください。2026年5月時点の情報に基づいています。*