訪問入浴サービスの利用手順と費用についてリハビリ相談室で説明する白ブラウス姿 of 女性アドバイザーの横長写真

「訪問入浴って、どうやって申し込むの?」「重症心身障害や医療的ケアがあっても使えるの?」「週2〜3回だけでは足りない——残りの日はどうすればいいの?」

こうした疑問を持つご家族に向けて、障害児の訪問入浴サービスの基本から、訪問入浴だけでは補えない日の清潔ケアの選択肢まで、まとめて解説します。


訪問入浴サービスとは

訪問入浴サービスとは、専門のスタッフ(介助員・看護師など)が自宅に浴槽を持ち込み、入浴介助を行うサービスです。

自宅の浴室を使う必要がなく、専用の簡易浴槽を設置して行うため、住宅環境(狭い浴室・段差・改修困難な物件など)に関わらず利用できます。重症心身障害のあるお子さんや医療的ケアがあるお子さんでも、対応できる事業者が多くあります。

訪問入浴当日の流れ

初めて利用するご家族にとっては「当日どんなことをするのか」のイメージが湧きにくいと思います。一般的な訪問入浴の流れは以下の通りです。

1. スタッフ到着・準備(15〜20分) スタッフ(多くの場合2〜3名)が浴槽・ホース・保温シート・タオルなどの用品を搬入します。お子さんの状態確認(体温・血圧・体調)を行い、入浴できる状態かを判断します。当日の体調次第では、シャワー浴や清拭に切り替えることもあります。

2. 入浴介助(30〜40分) 専用の簡易浴槽を設置し、お湯を張ります。スタッフがお子さんをベッドから浴槽へ移乗し、体・頭を洗います。医療的ケアがある部位の扱いも、看護師同行型であれば看護師が対応します。

3. 後片付け・報告(15〜20分) 入浴後の保温・着替えを行い、浴槽・用品を撤収します。当日の体調・皮膚の状態などを家族に報告して終了です。

合計所要時間は1〜1.5時間程度が目安です。

自宅の浴室との違い

比較項目 自宅浴室での入浴 訪問入浴サービス
浴室への移動 必要 不要
(ベッドサイドで完結)
介助人数 家族のみ 専門スタッフ2〜3名
転落リスク 高い
(移乗・浴槽出入り)
低い
(専門スタッフが管理)
家族の体への負担 大きい
(抱え上げ等)
ほぼなし
医療的ケアへの対応 家族のみで対応 看護師同行型なら対応可
費用 かからない 制度利用で軽減
(1割等)

障害児が利用できる訪問入浴の種類

障害のある子どもが利用できる訪問入浴サービスには、大きく分けて2つの制度があります。

① 障害福祉サービス(居宅介護)の入浴介助

障害者総合支援法に基づく居宅介護サービスのひとつとして、ヘルパー・介護士による入浴介助を自宅で受けることができます。

利用対象の目安

  • 障害支援区分2以上(または相当する状態)
  • 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれかを所持(または対象疾病があること)

利用の流れ 受給者証に「居宅介護(入浴介助)」が記載されていれば、対応事業所を探して契約するだけで利用できます。まだ受給者証がない場合は後述の手順で申請が必要です。

② 医療的ケア児向けの訪問入浴(看護師同行型)

気管切開・胃ろう・在宅酸素・人工呼吸器など医療的ケアが必要なお子さんには、看護師が同行する訪問入浴サービスがあります。

通常のヘルパーは医療行為を行えませんが、看護師同行型の事業者であれば、入浴中に気管切開部位のケア・吸引・酸素管理などを行いながら安全に入浴を進められます。

「医療的ケアがあるから訪問入浴は無理」と諦めているご家族もいますが、対応できる事業者は存在します。お住まいの地域の担当相談支援専門員に「医療的ケアに対応した訪問入浴事業者を探したい」と伝えることで、地域の対応事業所を案内してもらえます。


費用はどのくらいかかる?

訪問入浴サービスの費用は、利用する制度・事業者・地域・世帯収入によって異なります。

障害福祉サービスとして利用する場合

自己負担は原則1割(収入に応じた負担上限月額が設定されます)。

世帯収入の区分 月額上限
生活保護受給世帯 0円
住民税非課税世帯 0円
課税世帯
(市町村民税所得割額16万円未満)
9,300円
課税世帯
(市町村民税所得割額16万円以上)
37,200円

※上記は一般的な目安。実際の負担額は市区町村の窓口でご確認ください。

1回あたりのサービス費は事業所・地域によって異なりますが、1割負担の場合は1回数百円〜1,000円程度が目安になります。住民税非課税世帯であれば実質無料で利用できるため、経済的な不安がある場合も諦めずに相談してください。


利用を始めるまでの手順

訪問入浴サービスを利用するためには、障害福祉サービスの受給者証が必要です。まだ取得していない場合は以下の順番で手続きを進めます。

ステップ1:市区町村の障害福祉課に相談する(2〜4週間) 「子どもに訪問入浴サービスを使わせたい」と伝え、障害福祉サービスの申請書類を受け取ります。同時に相談支援専門員のあっせんを依頼しておくとその後の手続きがスムーズです。

ステップ2:障害支援区分の認定調査を受ける(1〜2ヶ月) 認定調査員が自宅や施設を訪問し、日常生活の状態を確認します。その後、審査会が障害支援区分(1〜6)を認定します。訪問入浴サービス(居宅介護の入浴介助)には原則として区分2以上が必要です。

ステップ3:相談支援専門員にサービス計画を作成してもらう(2〜4週間) 「サービス等利用計画」を作成してもらい、利用するサービスの種類・頻度・事業者候補を決定します。このとき「医療的ケアに対応できる事業者」「週何回希望か」を具体的に伝えましょう。

ステップ4:事業者と契約・利用開始 選定した訪問入浴事業者と契約を結び、利用開始日・曜日・時間を決めます。初回は事前に担当スタッフと打ち合わせを行い、お子さんの状態・医療的ケアの内容・家族の要望を共有します。

すでに受給者証をお持ちの場合:担当の相談支援専門員に「訪問入浴を追加したい」と相談するだけで進められます。手続き期間は大幅に短縮されます。


医療的ケアがある場合の事業者選びのポイント

医療的ケアのあるお子さんの場合、対応できない事業者も存在します。事業者探しの段階で必ず以下を確認してください。

看護師の同行体制 気管切開・胃ろうなどのケアには看護師の対応が必要です。「看護師は常駐ですか?それとも提携訪問看護ステーションからの同行ですか?」と具体的に確認しましょう。

対応できる医療的ケアの種類 「気管切開の管理はできるか」「人工呼吸器を使用中でも対応できるか」「吸引は対応しているか」など、お子さんの具体的なケア内容を伝えて対応可否を確認します。

緊急時の対応体制 入浴中に発作・急変が起きた場合の対応マニュアルがあるか、近隣の医療機関との連携体制はあるかを確認します。

介助実績・スタッフの経験 医療的ケア児の介助経験が豊富かどうかは、事業所に直接聞いてみることが大切です。「これまでに同様の状態のお子さんを担当したことはありますか?」と確認しましょう。

担当訪問看護ステーション・相談支援専門員に紹介を依頼する 自分で探すより、すでに地域の事業者事情を知っているプロに「信頼できる訪問入浴事業者を紹介してほしい」と依頼するのが最も確実です。


訪問入浴は「週2〜3回」が限界——残りの日はどうする?

訪問入浴サービスは、多くの場合、週2〜3回が標準的な利用頻度です。残りの4〜5日間は自宅でのケアが必要になります。

しかし「訪問入浴のない日に一人でお風呂に入れるのが怖い」「清拭だけでは十分に洗えている気がしない」というご家族は非常に多く、この**「空白の日」の清潔ケアが在宅介護の最大の課題のひとつ**になっています。

特に以下の場面で困っているというご家族が多いです。

  • 訪問入浴のスケジュールの都合で3日以上空いてしまう週がある
  • 夏場は発汗が多く週2〜3回では体臭・皮膚トラブルが心配
  • 医療的ケアがあって家族だけでは怖いため、清拭だけで終わらせてしまっている
  • 清拭を毎日続けているが、頭が洗えず頭皮トラブルが起きている

訪問入浴のない日の選択肢

ケア方法 特徴 向いているケース
清拭 水を使わず安全。最も手軽 体調不良日・医療的ケア不安定な日
シャワー浴 清拭より清潔度が高い 座位が取れる・浴室移動が可能
介護用洗身用具 ベッドで全身をお湯で洗える 移乗が難しい・毎日お湯で洗いたい

スイトルボディという選択肢

訪問入浴のない日の清潔ケアとして近年注目されているのが、ベッドの上で全身を洗える介護用洗身用具・スイトルボディです。

ノズル先端からお湯の噴射と汚水の吸引を同時に行うため、浴室への移動・浴槽への移乗なしに全身を清潔にできます。訪問入浴と異なり、毎日使えることが最大のメリットです。

こんなご家族に選ばれています:

  • 訪問入浴のない日にも毎日体をお湯で洗いたい
  • 気管切開・胃ろうがあって一人での入浴介助に不安がある
  • 家族一人でも安全に介助できるようにしたい
  • 抱え上げなどの介助で腰への負担が大きくなってきた

訪問入浴との組み合わせ例

訪問入浴 スイトルボディ 訪問入浴 スイトルボディ スイトルボディ 訪問入浴 スイトルボディ

この組み合わせで「毎日お湯で体を洗える体制を作れた」「清拭だけの日がなくなった」というご家族の声が多く届いています。

スイトルボディの仕組みと特長を詳しく見る


補助金でスイトルボディを購入できる場合があります

スイトルボディは日常生活用具給付制度(TAISコード取得済み)の対象品目です。以下のいずれかをお持ちのご家族は、費用の最大9割以上が補助される場合があります。

  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 小児慢性特定疾病医療受給者証

補助金の申請は、市区町村の障害福祉課または相談支援専門員を通じて行います。訪問入浴サービスの手続きと並行して申請できるため、「訪問入浴の手続きをしながらスイトルボディも補助金で導入する」というご家族が多くいます。

日常生活用具給付制度でスイトルボディを購入する方法を詳しく見る


よくある質問

訪問入浴サービスは子どもでも利用できますか?

利用できます。障害福祉サービスには年齢制限はなく、乳幼児から利用しているご家族もあります。受給者証と相談支援専門員のサポートがあれば手続きは進められます。お子さんが小さいうちから申請しておくことで、成長とともに変化するケアニーズにも対応しやすくなります。

訪問入浴の事業者はどうやって探せばいいですか?

担当の相談支援専門員に相談するのが最も確実です。地域の事業所情報を把握しており、お子さんの状態に合った事業者を紹介してもらえます。相談支援専門員がいない場合は、市区町村の障害福祉課または地域の基幹相談支援センターに問い合わせてください。

訪問入浴は週何回まで利用できますか?

支給決定された支給量(受給者証に記載された利用時間・回数)の範囲内で利用できます。「週2回希望」というようにサービス等利用計画に記載してもらい、市区町村が承認する形で決まります。必要性が高い場合は多めの支給量を申請することもできます。

訪問入浴だけで十分な清潔ケアができますか?

週2〜3回の訪問入浴は、皮膚トラブル予防・心身のリフレッシュに有効ですが、毎日の清潔ケアとしては不十分な場合があります。特に夏場は汗・皮脂の蓄積が早いため、訪問入浴のない日に清拭・シャワー浴・洗身用具を組み合わせることが推奨されます。「毎日清潔を保てている」という安心感を実現するには、スイトルボディのような補完的なケアの仕組みを作ることが重要です。

訪問入浴のスタッフに「入浴以外の介助」をお願いできますか?

訪問入浴サービスの範囲は原則として入浴介助に限定されます。着替えの補助・食事介助・排泄介助などは別途居宅介護サービスの利用が必要です。サービス等利用計画の中で組み合わせを設計してもらうよう、相談支援専門員に伝えてください。

清拭とスイトルボディはどう使い分ければよいですか?

清拭は「体調が悪い日・医療的ケアが不安定な日」のバックアップとして、スイトルボディは「安定した日の日常ケア」として使い分けているご家族が多いです。清拭はお湯を使わないため安全性が高い一方、汚れ・頭皮の皮脂を落とす力はスイトルボディのほうが格段に上です。

まとめ

  • 訪問入浴サービスは障害福祉サービスとして1割負担(住民税非課税世帯は原則無料)で利用できる
  • 医療的ケアがある場合は看護師同行型の事業者を選ぶ
  • 利用開始には受給者証の取得と相談支援専門員のサポートが必要(2〜4ヶ月かかることもある)
  • 週2〜3回の訪問入浴だけでは「空白の日」が生まれる——スイトルボディとの組み合わせで毎日の清潔を確保できる
  • スイトルボディは日常生活用具給付制度の補助金で購入できる可能性がある

「訪問入浴を探したい」「訪問入浴のない日の清潔ケアをどうにかしたい」というご相談はお気軽にどうぞ。

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本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。制度の詳細・費用・支給量は市区町村・担当の相談支援専門員にご確認ください。