「入浴後に皮膚の赤みが出たが、訪問看護師に伝える前に治ってしまった」「前回どんなケアをしたか、ヘルパーさんが知らずに違う方法でやっていた」——入浴介助の記録を医療チームと共有できていないと、こうした問題が起きます。
記録の共有は「ケアの継続性」を守るために欠かせません。このページでは、入浴記録を医療チームと効果的に共有するための具体的な方法を解説します。
なぜ入浴記録を共有するのか
理由① 皮膚トラブルの早期発見・対処
入浴時はお子さんの全身皮膚を観察できる貴重な機会です。発赤・湿疹・傷・褥瘡の初期変化を記録・共有することで、訪問看護師や主治医が早期に対処できます。
理由② ケア方法の統一
訪問看護師・ヘルパー・家族など複数の人が介助する場合、「どの体位で洗うか」「どの部位に注意が必要か」を共有することで、ケアの質が安定します。
理由③ 発作・バイタルの記録
てんかんがあるお子さんでは、入浴中・入浴後の発作の有無・体温・SpO2を記録することが重要です。これを医師に提出することで、薬の調整や入浴方針の見直しに役立ちます。
理由④ 介助者の「伝え忘れ」を防ぐ
口頭での申し送りだけでは情報が抜け落ちます。記録があれば、担当者が変わっても継続したケアが可能になります。
記録に含めるべき項目
入浴記録には以下の情報を含めることをお勧めします。
基本情報
- 日付・時間
- 入浴方法(浴槽 / シャワー / 清拭 / ベッドサイドケア)
- 担当者(家族 / 訪問看護師 / ヘルパー)
バイタル・体調
- 入浴前後の体温・SpO2(必要な場合)
- 入浴前の機嫌・全身状態
- 発作の有無・状況
皮膚観察
- 発赤・湿疹・傷・浸軟の有無と部位
- 前回との変化(改善 / 悪化)
- 使用した保湿剤・処置の内容
ケアの内容
- 洗髪の有無
- 特別な体位保持の工夫
- 嫌がりの有無・対応方法
特記事項・申し送り
- 次回の担当者への引き継ぎ事項
- 主治医や訪問看護師に確認したいこと
共有方法1:連絡ノート(アナログ)
最もシンプルで確実な方法です。ノートを「介護ファイル」として自宅に置き、全ての担当者が記入・閲覧します。
メリット
- ITが苦手な方でも使いやすい
- 全員が同じノートを見るため情報が一元化される
- 病院・施設への持参も容易
実践のポイント
- A4サイズのバインダーを使い、日付でページを管理する
- 「皮膚観察用の人体図」を印刷して貼り、部位を書き込む
- 「申し送り欄」を設けて次の担当者へのメモを書く
共有方法2:スマートフォンアプリ・ICTツール
リアルタイムの情報共有が可能です。家族が外出中でも訪問者の記録をすぐ確認できます。
代表的なツール
カナミックネットワーク
訪問看護・ヘルパー・相談支援など多職種間で使われる介護系連絡ツール。訪問記録・申し送りを一元管理できます。
LIFE(科学的介護情報システム)
介護保険サービスでの利用記録に活用。ただし障害児サービスでは利用対象外の場合もあります。
医療機関・ステーション独自のアプリ
訪問看護ステーションによっては独自の連絡アプリ(LINE系・専用アプリ)を使っている場合があります。担当ステーションに確認しましょう。
LINEグループ
非公式ですが、訪問看護師・ヘルパー・家族でグループを作り、日常的な連絡に使っている家庭もあります。個人情報の取り扱いに注意が必要です。
共有方法3:写真・動画の活用
皮膚トラブルの状態、体位保持の方法、正しいケア手順を写真・動画で記録・共有することは非常に効果的です。
写真を使うべき場面
- 皮膚の発赤・傷・湿疹が出た初日の状態
- 「このくらいの赤みで受診するべきか?」という判断が難しい状態
- 新しいケア方法(体位・洗い方)を訪問看護師と確認したいとき
実践のポイント
- 撮影日時が記録されるスマートフォンで撮影する
- 「いつもの状態」の写真(ベースライン)も撮っておく
- 訪問看護師に「写真を送ってよいか」「どこに送るか」を事前に確認する
医療チームとの定期的な記録レビューの場を作る
個別の記録共有に加えて、定期的に担当者が集まって記録を振り返る「カンファレンス」を行うことが理想的です。
開催の目安:月1回〜3か月に1回
参加者:訪問看護師・ヘルパー・相談支援専門員・(必要に応じて)主治医
議題例
- 最近の入浴状況・皮膚の変化
- 介助方法の見直しが必要な点
- 今後のサービス変更(季節・体調変化への対応)
カンファレンスの開催を希望する場合は、相談支援専門員か訪問看護師に相談してみましょう。
スイトルボディ使用時の記録ポイント
スイトルボディでベッドサイドケアを行う場合も、通常の入浴と同じ記録が必要です。特に以下の点を記録しておきましょう。
- 使用時の水温・シャワーの圧
- ポジショニングの詳細(どのクッションをどこに使ったか)
- ケア後の皮膚の状態(特に背中・臀部)
ケア後に訪問看護師が確認できるよう、「本日のケア内容メモ」をスイトルボディそばに置いておくと引き継ぎがスムーズです。
よくある質問
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記録を書くのが負担です。最低限何を書けばよいですか?
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最低限、「日付・入浴方法・皮膚に気になる変化があるかどうか・特記事項」の4点を書けば十分です。箇条書きで1〜2行でも記録として機能します。
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写真を訪問看護師に送るとき、プライバシーは大丈夫ですか?
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皮膚の部分写真は個人情報を含む場合があります。送信前に訪問看護師・ステーションの方針を確認し、必要に応じてセキュアなツールを使いましょう。
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記録を医師に見せたいが、診察の時間が短くてうまく伝えられません。
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「要約メモ」を1枚作成して診察時に手渡すことをお勧めします。「最近の入浴記録のまとめ:皮膚の赤みが3回 / 発作1回 / バイタル安定」のように一覧化しておくと、短時間でも伝わりやすくなります。
まずはご相談ください
入浴ケアの記録・情報共有についてのご相談もお気軽にどうぞ。
*本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。具体的な記録・共有方法は担当の訪問看護師にご相談ください。*

