ダウン症(21トリソミー)のあるお子さんは、乳幼児期には比較的介助しやすいことも多いですが、成長とともに体重が増え、介助の負担が大きく変化します。「気づいたら一人での介助が限界に近くなっていた」というご家族からの相談が増えています。
このページでは、ダウン症のあるお子さんの入浴介助の特徴・成長段階ごとの課題・安全に体を洗うための方法と福祉用具・補助金制度について解説します。
ダウン症のある子どもの入浴介助の特徴
筋緊張低下(低緊張)による体幹の不安定さ
ダウン症のあるお子さんの多くは筋緊張が低く(低緊張)、座位・立位での体幹保持が難しいことがあります。浴槽内でのバランス保持や、シャワーを浴びながら立ち続けることが困難な場合があり、介助者がしっかり支えながら洗う必要があります。
心疾患がある場合の注意
ダウン症のあるお子さんの約40〜50%に先天性心疾患が見られます。心疾患がある場合、以下の点に注意が必要です。
- 熱いお湯は心臓への負担が増すため、ぬるめ(37〜38℃)に設定する
- 長時間の入浴を避け、短時間で済ませる
- 入浴前後の体調確認を丁寧に行う
必ず主治医(小児循環器科・かかりつけ医)に入浴時の注意事項を確認してください。
成長・体重増加にともなう介助負担の変化
ダウン症のあるお子さんは成長とともに体重が増えやすい傾向があります。乳幼児期には抱っこしながら入浴できていたものが、学齢期・思春期になると一人での入浴介助が体力的に厳しくなるケースが多くあります。
成長段階ごとの主な課題
乳幼児〜幼児期
ベビーバスや浴槽での入浴が中心。体が小さいため介助はしやすいですが、低緊張による首のすわりの遅れや体幹の不安定さに注意が必要です。
学齢期
体重が増え、浴槽への抱き上げに腰への負担が出始める時期。一人での入浴が難しく、介助者が毎回付き添う必要があります。
思春期・青年期
体重が成人に近づき、浴槽への移乗が介助者にとって大きな身体的負担になります。「そろそろ一人での介助が限界」と感じるご家族が多いのもこの時期です。また、異性の介助者による入浴介助に対してお子さん自身が抵抗を感じる場合もあります。
安全に体を洗うための方法
浴室内での体幹サポート
入浴補助椅子・浴槽手すり・すべり止めマットを活用し、お子さんが安全な姿勢を保てる環境を整えます。シャワーチェアを使うと立位を保たなくても体を洗えます。
ベッドサイドでの全身ケア
浴槽への移乗が難しくなってきた場合や、心疾患があって長時間の入浴に不安がある場合に活用されているのが、ベッドの上で全身をお湯で洗える介護用洗身用具「スイトルボディ」です。
ノズルからお湯を噴射しながら汚水を同時に吸引するため、ベッドのシーツを濡らさずに体を洗えます。浴槽への移乗が不要になるため、介助者の腰への負担と転落リスクを同時に解消できます。
実際にスイトルボディを使ったご家族の体験はスイトルボディを使い始めたご家族の声でご紹介しています。
使える福祉用具の例
| 用具 | 主な用途 |
|---|---|
| 入浴補助椅子 | 浴槽内・浴室での体幹保持 |
| 浴槽用手すり | 浴槽への出入りのサポート |
| すべり止めマット | 浴室内の転倒防止 |
| シャワーキャリー | 浴室内移動・シャワー浴 |
| スイトルボディ | ベッドサイドで全身をお湯で洗う |
補助金制度について
スイトルボディは日常生活用具給付制度の対象品目です。障害者手帳・療育手帳をお持ちのご家族は費用の最大9割以上が補助される場合があります。
よくある質問
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心疾患の手術後でも入浴できますか?
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手術の内容・回復状況によって異なります。入浴再開の時期や方法については必ず主治医(小児循環器科)の指示に従ってください。
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本人が入浴を嫌がります。どうすればよいですか?
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感覚過敏・入浴環境の温度・音などが原因の場合があります。嫌がる理由を観察し、環境を整えることで改善する場合があります。スイトルボディのようにベッドで寝たまま使える方法に変えたことで、嫌がらなくなったというご家族もいます。
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訪問入浴サービスは使えますか?
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利用できる場合があります。お住まいの市区町村や相談支援専門員にご相談ください。
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介助者の腰への負担が心配です。
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成長にともなう介助負担の増加は多くのご家族が直面する課題です。入浴介助による介護者の腰痛について詳しく読むもあわせてご覧ください。
まずはご相談ください
「うちの子の状態で使えますか?」「補助金が使えるか確認したい」——どんなご質問でも対応しています。
*本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。入浴方法・福祉用具の選択については、必ずお子さんの主治医・かかりつけ医にご相談ください。*

