「浴室が狭くて介助しにくい」「段差があって移乗が怖い」「手すりをつけたいが費用が心配」——障害のある子どもの入浴環境を改善したいご家族から、住宅改修についての相談が多く届きます。
バリアフリーリフォームには複数の補助金制度が活用でき、費用負担を大きく軽減できる場合があります。このページでは、入浴環境を整えるための住宅改修の種類・補助金制度・申請の流れを解説します。
入浴環境を改善する主な住宅改修の種類
手すりの設置
浴室内・浴槽周囲への手すり(グラブバー)設置は、最もコストが低く導入しやすい改修です。
- 浴槽への出入り時の支え
- 洗い場での立位・座位の安定
- 脱衣所への移動時の安全確保
設置位置は使い方・お子さんの動線に合わせて決めることが重要です。作業療法士に相談すると最適な位置をアドバイスしてもらえます。
段差の解消
浴室の入口・洗い場・浴槽の段差をなくすことで、車いす・シャワーキャリーでの移動が安全になります。また、抱き上げ時の足場の安定にもつながります。
浴室の拡張・ドアの変更
現状の浴室が狭く介助スペースが確保できない場合は、浴室の拡張・ドアを開き戸から引き戸・折れ戸に変更する改修が有効です。車いすが浴室内に入れる広さ(介助スペース含む)を確保することが目標になります。
滑り止め加工
浴室の床面に滑り止め加工を施すことで、介助者・お子さん双方の転倒リスクを下げられます。タイルの表面加工・ノンスリップシートの貼り付けなどの方法があります。
浴槽の取り替え・浴槽台の設置
浴槽が深すぎる・またぎにくい場合は、浅くまたぎやすい浴槽への取り替えが有効です。費用をかけずに浴槽台(すのこ)を設置して高さを上げる方法もあります。
暖房設備の設置
浴室暖房・脱衣所の暖房設備を設置することで、ヒートショックリスクを低減できます。特に心疾患・体温調節が難しいお子さんには重要な改修です。
使える補助金制度
① 障害者住宅改修費補助(市区町村)
障害者手帳をお持ちの方の住宅改修(手すり設置・段差解消・浴室改修など)に対して、市区町村が費用の一部を補助する制度です。
対象: 身体障害者手帳・療育手帳をお持ちの方(自治体によって対象が異なる)
補助額: 自治体によって異なる(工事費の2/3〜全額補助、上限20〜50万円程度が多い)
申請先: 市区町村の障害福祉課または建築住宅課
自治体によって制度の有無・金額が大きく異なるため、まず市区町村の担当窓口に確認してください。
② 介護保険住宅改修費(65歳以上・一部40歳以上)
介護保険の被保険者(65歳以上、または40〜64歳で特定疾病に該当)が対象の制度です。18歳未満の障害のある子どもは原則対象外ですが、成人後・40歳以上になってから活用できる場合があります。
対象工事: 手すりの取り付け・段差の解消・滑り防止・引き戸等への変更・洋式便器等への変更
補助額: 工事費の9割(上限20万円まで)
③ 地域生活支援事業(日常生活用具・住宅改修)
一部の自治体では、日常生活用具給付制度とは別に、住宅改修費の補助を障害者向けに設けています。名称・対象・金額は自治体によって大きく異なります。
④ 住宅金融支援機構のバリアフリーローン
補助金ではなく融資(ローン)ですが、バリアフリー改修目的の低金利ローンを利用できます。補助金との併用が可能な場合があります。
申請の流れ(障害者住宅改修補助の一般的な流れ)
- 市区町村の担当窓口(障害福祉課・建築住宅課)に相談・申請
- 審査・承認(工事前に申請が必要なことが多い)
- 工事業者に依頼して改修を実施
- 完成後に完了届・領収書を提出
- 補助金の支給
重要:必ず工事前に申請・承認を得てから着工すること。 工事後に申請しても補助の対象外になる場合があります。
住宅改修が難しい場合の代替策
賃貸住宅・改修工事が難しい住宅環境では、以下の代替策が有効です。
スイトルボディによるベッドサイドケアへの移行
浴室を改修しなくても、スイトルボディを使ったベッドサイドケアに切り替えることで、浴室の問題を根本的に回避できます。浴室の広さ・段差・設備に関わらず、ベッドの上で全身をお湯で洗えるため、住宅改修の費用をかけずに入浴環境を改善できます。
賃貸住宅・改修が難しい住宅でスイトルボディを選ぶご家族も多くいます。
福祉用具の活用
住宅改修と組み合わせて、バスチェア・シャワーキャリー・入浴リフトなどの福祉用具を活用することで、改修費用を抑えながら安全な入浴環境を整えられます。
住宅改修と日常生活用具補助の違い
混同しやすい2つの制度の違いをまとめます。
| 項目 | 住宅改修費補助 | 日常生活用具給付制度 |
|---|---|---|
| 対象 | 建物・設備の改修工事 | 用具・機器の購入 |
| 例 | 手すり設置・段差解消・浴室拡張 | スイトルボディ・シャワーキャリー |
| 申請先 | 市区町村(障害福祉課・建築住宅課) | 市区町村(障害福祉課) |
| 倂用 | 可能(それぞれ申請) | 可能(それぞれ申請) |
両制度を組み合わせて活用することで、住宅環境と用具の両面から入浴環境を整えられます。
日常生活用具給付制度(スイトルボディの補助金)について詳しく読む
作業療法士・福祉住環境コーディネーターへの相談
住宅改修の内容を決める際は、以下の専門家に相談することをお勧めします。
作業療法士(OT): お子さんの動作・姿勢を評価して、最適な改修内容・手すりの位置などをアドバイスしてくれます。訪問リハビリとして自宅に来てもらえる場合があります。
福祉住環境コーディネーター: 住宅改修と福祉用具の組み合わせを総合的にアドバイスする資格者です。自治体の担当者・工務店・相談支援専門員が持っている場合があります。
よくある質問
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賃貸住宅でも住宅改修補助を受けられますか?
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賃貸の場合はオーナーの許可が必要です。また、改修内容によっては退去時に原状回復が必要な場合があります。オーナーへの交渉・原状回復の扱いを事前に確認してください。
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補助金は何回でも申請できますか?
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自治体によって上限回数・金額が設定されています。一生涯で1回のみの自治体もあれば、複数回申請できる場合もあります。担当窓口に確認してください。
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住宅改修とスイトルボディの購入、どちらを先に検討すべきですか?
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まず「浴室を使い続けるかどうか」を検討することをお勧めします。スイトルボディへの移行でベッドサイドケアに完全に切り替えるのであれば、浴室改修の優先度は下がります。どちらが長期的に合っているかを、お子さんの状態・住環境・費用を総合して判断してください。
まずはご相談ください
「住宅改修とスイトルボディのどちらが合っているか相談したい」——ご家族の状況に合わせてご案内します。
*本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。住宅改修費補助の内容・金額は自治体によって異なります。最新情報はお住まいの市区町村の担当窓口にご確認ください。*

