プラダーウィリ症候群(PWS)は15番染色体の異常により生じる疾患で、新生児期の著明な低筋緊張・哺乳不良から始まり、幼児期以降の過食・肥満傾向・知的障害・行動面の問題などが特徴です。入浴介助では年齢・体格・症状の変化に合わせた対応が必要です。
このページでは、プラダーウィリ症候群のあるお子さんの入浴時の注意点と、安全に清潔ケアを続けるための方法を解説します。
※ 入浴方法については必ず主治医・訪問看護師の指示に従ってください。
プラダーウィリ症候群の特性と入浴への影響
低筋緊張(筋緊張低下)
乳幼児期は特に筋緊張が低く、体を支える力が弱いため、浴槽内・洗い場での体位保持が難しい場合があります。成長とともに改善するお子さんも多いですが、幼児期から学童期にかけての入浴介助では安定した体位のサポートが必要です。
- 浴槽内では体がずり落ちないようにしっかり支える
- 入浴補助椅子・バスチェアを活用して座位を安定させる
- ベッドサイドでの横臥位ケアは体位が安定しやすく低筋緊張のお子さんに向いている
肥満・体格の大きさ
幼児期以降に過食傾向が強まり体重が増えるお子さんが多く、入浴介助の身体的負担が大きくなります。特に思春期以降は体格が大きくなり、浴槽への移乗・抱き上げが難しくなることがあります。
- 体重増加に合わせて早めに入浴方法を見直す
- 抱き上げが困難になる前にリフトやベッドサイドケアへの移行を検討する
- 介助者の腰への負担が増えていると感じたらすぐに対策を取る
体温調節の問題
プラダーウィリ症候群では視床下部機能の異常から体温調節が難しく、発熱に気づきにくい・暑さ寒さへの感覚が鈍いことがあります。
- 入浴中のお湯の温度を必ず手で確認してから行う(熱さを訴えられないため)
- 入浴後の体温変化に注意する
- 夏は熱中症・冬は低体温に注意する
皮膚トラブル
肥満があるお子さんは皮膚のしわ・折れ目(腹部・股・腋窩など)に汗や皮脂が溜まりやすく、皮膚炎・カンジダ感染のリスクが高まります。入浴時にこれらの部位を丁寧に洗うことが予防になります。
- 皮膚のしわの中を開いて丁寧に洗う
- 洗浄後はしっかりと水分を拭き取って乾燥させる
- 赤み・においが続く場合は早めに訪問看護師・皮膚科に相談する
行動面・感情調節の難しさ
入浴を嫌がる・入浴後に着替えを拒否する・入浴時間を自分でコントロールしようとするなど、行動面の問題が入浴ルーティンに影響することがあります。
- 入浴の手順・時間を視覚スケジュールなどで「見通し」を持たせる
- 入浴前後にお気に入りの活動を設定して動機づけにする
- ルーティンを一定に保つことで混乱を減らす
安全な入浴方法の選択
幼児期:低筋緊張への対応
筋緊張が低い時期は、浴槽内での体位保持サポートが特に重要です。入浴補助椅子・体幹保持バスチェア・浴槽内マットを活用してください。お子さんが一人でしっかり座れるようになるまでは、介助者が常に体を支えながら行います。
学童期以降:体重増加への対応
体格が大きくなるにつれて、浴槽への移乗介助の負担が増します。体重が増え始めた段階で入浴方法の見直しを行い、ベッドサイドケアへの移行や入浴リフトの導入を検討してください。
スイトルボディを使ったベッドサイドケアは体格・体重に関わらず使えます。浴槽への移乗が不要なため、肥満が進んでも継続しやすい方法です。一人での介助負担を大幅に軽減できます。
皮膚観察のポイント
入浴時に以下の部位を重点的に観察・洗浄してください。
| 部位 | 確認すること |
|---|---|
| 腹部・股のしわ | 発赤・においの有無 |
| 腋窩(わきの下) | 皮膚炎・汗疹の有無 |
| 臀部・おむつ使用部位 | 褥瘡・発赤の有無 |
| 足の指の間 | 白癬(水虫)・浸潤の有無 |
補助金制度について
スイトルボディは日常生活用具給付制度の対象品目です。療育手帳・身体障害者手帳をお持ちのご家族は費用の最大9割以上が補助される場合があります。
よくある質問
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低筋緊張があってもスイトルボディは使えますか?
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はい。ベッドで横になった姿勢で行うため、筋緊張が低いお子さんでも体位が安定した状態でケアができます。
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太ってきて浴槽への移乗が大変になってきました。
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早めにベッドサイドケアへの移行を検討することをお勧めします。スイトルボディは体重・体格を問わず使えます。介助者の腰への負担も大幅に軽減できます。
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入浴を嫌がって毎回大変です。
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視覚スケジュールでの見通し提示・お気に入りの活動との組み合わせが有効なことがあります。作業療法士や支援者に相談して、個別の工夫を見つけてみてください。
まずはご相談ください
「プラダーウィリ症候群の子どもにスイトルボディは合いますか?」——お子さんの状態をお聞きして、使い方をご案内します。
*本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。入浴管理については必ずお子さんの主治医・訪問看護師の指示に従ってください。*

