
CHARGE症候群は、CHD7遺伝子の変異を主な原因とする先天性疾患で、Coloboma(眼コロボーマ)・Heart defect(心疾患)・Atresia choanae(後鼻孔閉鎖)・Retardation of growth(成長遅滞)・Genital abnormalities(性器異常)・Ear anomalies(耳の異常)の頭文字をとった名称です。
視覚・聴覚・心疾患・嚥下機能・気道に複数の課題が重なることが多く、入浴介助では疾患ごとの個別対応が必要です。この記事では、CHARGE症候群のあるお子さんの入浴介助で特に注意すべき5つのポイントと、具体的な対応方法をまとめました。
※ 入浴方法については必ず主治医・訪問看護師の指示に従ってください。
CHARGE症候群の主な特性と入浴への影響
先天性心疾患
CHARGE症候群の70〜85%に先天性心疾患を合併します。心疾患の種類・重症度は個人差が大きく、入浴管理は主治医の判断を最優先にしてください。
入浴前に主治医へ確認すること
- 入浴が許可されているか(シャワーのみか、湯船入浴も可か)
- 入浴可能な心拍数・SpO₂の目安
- 入浴を中止すべき症状(チアノーゼ・息切れ・顔色不良など)
入浴中の注意点
- お湯の温度はぬるめ(37〜38℃)に設定する。熱いお湯は心臓への負担を高めます
- 入浴時間は5〜10分程度を目安に短くする
- 入浴前後にSpO₂・心拍数を計測し、変化を記録する
- 入浴中は会話や表情を通じてお子さんの様子を観察し、顔色が変わったらすぐに中止する
- 心臓手術後は傷口の保護・感染予防の観点から、主治医の許可が出るまでシャワーのみとする場合が多い
後鼻孔閉鎖・気道の問題
後鼻孔閉鎖(鼻の奥の通路が塞がっている状態)があるお子さんは、鼻呼吸が難しく口呼吸に依存することがあります。顔・鼻周囲への水かけは特に注意が必要です。
シャワー・洗髪時の工夫
- シャワーヘッドを額・髪の生え際に当て、鼻・口に水がかからないよう角度を調整する
- 洗顔・洗髪時はお子さんに「口を閉じて」と声かけし、誤嚥・誤飲を防ぐ
- 必要に応じて洗髪用ブロック(首当て)を使い、顔に水がかかりにくい体位を保つ
気管切開がある場合
CHARGE症候群では気管切開をしているお子さんも多くいます。気管切開部位への水の侵入は厳禁です。
- シャワーを気管切開部位に直接当てない
- 入浴中は人工鼻(HMEフィルター)を外した場合、開口部を指やガーゼで保護する(主治医・訪問看護師の指導に従う)
- 洗体はベッドサイドで体位を管理しながら行うと安全性が高い
聴覚障害・平衡感覚の問題
CHARGE症候群では高頻度で感音性難聴・半規管形成不全(平衡感覚の障害)があります。「聞こえにくい」「バランスが取りにくい」という2つの問題が重なるため、入浴中の転倒・パニックに注意が必要です。
コミュニケーションの工夫
- 声かけが届きにくい場合は、肩・腕への触覚サイン(トントン・手を握る)を事前に決めておく
- 入浴の流れを毎回同じ順番で固定する。お子さんが「次は何をされるか」を予測できると安心感につながります
- 人工内耳・補聴器は入浴前に必ず外す
転倒・体位の安定
- 半規管形成不全により立位・座位が不安定なことがある。入浴台・シャワーキャリーなどを活用して体位を固定する
- シャワーの水音・水圧が強い刺激となる場合がある。水圧を弱めに設定し、シャワーヘッドをお子さんの体に近づけて使う
- スイトルボディを使ったベッドサイドケアは、立位・座位保持が難しいお子さんの体位管理がしやすい
視覚障害(眼コロボーマ)
眼コロボーマによる視野欠損・視力低下があるお子さんは、入浴中の光の変化・水しぶきによる不安が強く出ることがあります。
入浴前の準備
- 入浴前に「これからお風呂に入るよ」と声・触覚の両方で伝え、急な状況変化を避ける
- 浴室の照明は急激に変えない(暗い廊下から明るい浴室への移動は目が慣れるまで時間をかける)
- 使い慣れたタオル・用具を毎回同じ位置に置き、環境の予測可能性を高める
洗体中の注意
- 動作の前に必ず声かけ+触覚サインを行い、何をされるかを伝えてから動く
- 急な動き・シャワーの水しぶきが目に入らないよう、タオルで目元を保護することも有効
- お子さんが自分でシャワーの水を触れる体験を繰り返すと、水への慣れが生まれやすい
嚥下機能障害
嚥下機能に問題があるお子さんは、入浴中の誤嚥リスクがあります。とくに経管栄養後の入浴や、頭部の体位管理には注意が必要です。
- 経管栄養後は消化を優先し、可能であれば入浴まで30〜60分の間隔をあける
- 仰向けの体位は誤嚥リスクが高まるため、頭部をやや起こした体位を基本とする
- シャワー時は口・咽頭への水の流入を防ぐ体位を保ち、洗髪は最後に行う
- 嚥下訓練を担当する言語聴覚士や訪問看護師と、入浴時の体位管理について事前に確認しておく
安全な入浴方法の選択
複数の障害・医療的ケアが重なるCHARGE症候群の入浴介助は、浴槽での入浴が難しいケースも多くあります。そのような場合に多くの訪問看護師・介護者が選択しているのが、スイトルボディを使ったベッドサイドケアです。
スイトルボディの主なメリットは以下のとおりです。
- 体位管理が安定する:ベッド上で寝たまま全身を洗えるため、立位・座位が難しいお子さんでも安全に入浴介助が行えます
- 気道・気管切開部位を保護しやすい:ノズルの向きを細かく調整できるため、避けたい部位への水かけを最小限にできます
- 顔・鼻周囲への水の流入を制御できる:後鼻孔閉鎖のあるお子さんや嚥下障害のあるお子さんへの対応がしやすくなります
- 介護者の腰への負担を軽減:浴室での抱え移動が不要になり、親御さん・介護者の体への負担が減ります
補助金制度について
スイトルボディは日常生活用具給付制度の対象品目です。以下の手帳・証明書をお持ちのお子さんは、費用の最大9割以上が補助される場合があります。
- 身体障害者手帳
- 療育手帳
- 小児慢性特定疾病医療受給者証
CHARGE症候群のあるお子さんは、心疾患・聴覚障害・視覚障害などの複合的な障害があるため、身体障害者手帳の対象となるケースが多くあります。補助金の申請は市区町村の窓口(福祉担当部署)で行います。
よくある質問
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聴覚障害があり、声かけが伝わりません。どうすれば安心して入浴できますか?
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触覚でのサイン(肩に触れる・手を握るなど)を事前に決めておくと有効です。入浴の流れを毎回同じ順番で行うことで、お子さんが次の動作を予測しやすくなります。訪問看護師や療育の先生と一緒に「入浴コミュニケーションの方法」を確認するのもおすすめです。
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気管切開があります。スイトルボディは使えますか?
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スイトルボディではノズルの向きを細かく調整できるため、気管切開部位を避けてケアすることが可能です。具体的な方法は初回の使用前に訪問看護師と一緒に確認することをお勧めします。
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複数の医療的ケアが重なっています。どこに相談すればよいですか?
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担当の訪問看護ステーション・相談支援専門員に「入浴の手順を一緒に確認したい」と伝えると、個別に対応してもらえます。必要に応じてリハビリ(理学療法士・作業療法士)と連携し、体位や補助具の選定を一緒に行うケースもあります。
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入浴中に顔色が悪くなりました。どうすればよいですか?
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入浴を中止し、お子さんを安全な場所に移動させてください。SpO₂・心拍数を計測し、主治医または訪問看護ステーションへ連絡します。心疾患のあるお子さんの場合、入浴前にかかりつけ医と「中止基準」を事前に確認しておくと、緊急時の判断がしやすくなります。
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お風呂が怖いようで、入浴を嫌がります。慣れさせる方法はありますか?
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視覚・聴覚・感覚の問題から水や浴室の環境を怖いと感じるお子さんは多くいます。まず足浴(足だけのお湯)から始め、少しずつ体の範囲を広げる方法が有効なことがあります。また、スイトルボディのようにベッド上で行うケアは、浴室環境へのストレスなく体を清潔に保つ選択肢になります。
まずはご相談ください
CHARGE症候群のお子さんの入浴介助でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。スイトルボディの実際の使い方や、補助金申請のサポートについてご案内します。
本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。CHARGE症候群の管理・入浴可否については必ずお子さんの主治医・訪問看護師の指示に従ってください。


