ドラベ症候群(乳児重症ミオクロニーてんかん)は、SCN1A遺伝子の変異を主な原因とする難治性てんかん症候群です。生後6ヶ月前後から発症し、発熱・温熱・光刺激などで発作が誘発されやすいことが大きな特徴です。
入浴は体温を上昇させる行為であり、ドラベ症候群のお子さんにとって発作の最も高リスクな状況のひとつです。 お湯の温度管理と緊急時対応の準備が、すべてのケアの前提になります。
※ 入浴方法については必ず主治医・訪問看護師の指示に従ってください。
ドラベ症候群と入浴の関係
入浴誘発発作とは
ドラベ症候群では、お湯の熱さによる体温上昇が発作を誘発することがあります(入浴誘発発作・温熱誘発発作)。これはドラベ症候群に特徴的な現象で、多くの保護者が「入浴中・入浴直後に発作が起きた」という経験をしています。
発作の誘発閾値(何℃から危険か)には個人差があり、38℃以上のお湯で誘発されやすいお子さんが多いですが、37℃台でも誘発されるケースがあります。お子さんの発作パターンを主治医・訪問看護師と確認してください。
発作誘発リスクを下げる温度管理
| お湯の温度 | 基本方針 |
|---|---|
| 36〜37℃ | ドラベ症候群の入浴で推奨される範囲(ぬるめ) |
| 38℃以上 | 発作誘発リスクが高まる。原則避ける |
| 40℃以上 | 使用禁止に近いリスク |
温度計で毎回確認することを強くお勧めします。「体感でだいたい」という判断は避けてください。
安全な入浴方法
ぬるめのシャワー・ベッドサイドケアが基本
浴槽に長時間つかることは体温上昇につながるため、ドラベ症候群のお子さんには適していないことが多いです。
スイトルボディを使ったベッドサイドケアは、ドラベ症候群のお子さんの清潔ケアに特に有効です。
- お湯の温度を36〜37℃に設定して全身を洗える
- 浴槽のように体全体が温まりすぎる状況を避けられる
- 発作が起きた際も、ベッドの上で安全に対応しやすい
- ケアの時間を短くコントロールできる
入浴前のチェック
□ 当日・前日に発作はなかったか(発作後は体が疲弊しており発作が重なりやすい)
□ 体温は平熱か
□ 抗てんかん薬は予定通り服用しているか
□ 緊急時薬(ジアゼパム坐剤・ミダゾラム口腔内投与液など)の準備はできているか
□ 緊急連絡先を確認したか
入浴中の観察
- お湯の温度を定期的に確認する(冷めすぎていないかも)
- お子さんの顔色・目の動き・手足の動き(発作の前兆)を常に観察する
- ケアの時間をできるだけ短くする(長時間の温熱暴露を避ける)
発作が起きた場合の対応
- すぐにお湯を止める・シャワーを止める
- 顔が水面から出た状態を保つ(浴槽にいる場合はすぐに引き上げる)
- 体を横向きにして気道を確保する
- 緊急時薬を準備・投与する(主治医の指示に従って)
- 発作の様子を記録する(開始時刻・持続時間・身体の動き)
- 5分以上続く・呼吸が止まる・意識が戻らない場合は119番
入浴を避けるべき日
以下の状況では入浴を避け、清拭・部分ケアにとどめることをお勧めします。
- 発熱がある(発熱自体が発作のトリガー)
- 当日すでに発作があった
- 体調が悪そう・機嫌が悪い
- 前日の夜間に発作があった
補助金制度について
スイトルボディは日常生活用具給付制度の対象品目です。小児慢性特定疾病医療受給者証・身体障害者手帳をお持ちの場合、費用の最大9割以上が補助される場合があります。
よくある質問
-
何℃から危険ですか?個人差はありますか?
-
一般的に38℃以上が誘発リスクとされますが、個人差があります。お子さんのこれまでの発作パターン(何をきっかけに起きたか)を主治医と確認し、安全な温度の上限を決めておくことをお勧めします。
-
夏は気温が高く、ぬるいお湯でも体が温まりすぎます。
-
夏は室温・お湯の温度を両方管理する必要があります。エアコンで室温を下げた状態でケアを行う・ケア時間を短くする・入浴後に体を素早く冷ます(うちわ・冷却シートなど)といった工夫が有効です。
-
ぬるいお湯で洗っても清潔になりますか?
-
はい。清潔効果はお湯の温度より、洗浄剤・十分な洗い流しによります。36〜37℃のぬるめのお湯でも十分な清潔ケアが可能です。
まずはご相談ください
「ドラベ症候群の子どもにスイトルボディは使えますか?」——お子さんの状態をお聞きして、安全な使い方をご案内します。
*本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。ドラベ症候群の入浴管理については必ずお子さんの主治医(小児神経科)の指示に従ってください。*

